歌舞伎町のホストクラブに体験入店して来た ~前編 ~
この度、歌舞伎町のとあるホストクラブの体験入店に行って参りました。結果としてホストになることは断念しましたが、普段得られないような貴重な体験が得られように思います。 また、ホスト業界の闇を垣間見たような気がしたので、体験入店で感じたことを、ブログに書き留めておきます。
新宿の路上で勧誘を受ける
お昼時、新宿を歩いていると、感じの良いおじさん(以降Iさん)に、「お兄さん、ちょっと待って!」と、声をかけられます。いきなり拳を突き合わせて来て、「イェーイ、お兄さんかっこええなあ」と、妙なテンションで絡まれました。
絡み方からして怪しさがぷんぷんしていましたが、普段からかっこいいとは言われ慣れておらず、悪い気分がしなかったので、思わず立ち止まってしまいました。
安っぽいスナップモデルの勧誘か何かかと想像していたのですが、彼の次の言葉は意外にも、 「ホストクラブの人事やっとんのやけど、ホスト興味あらへん?」 でした。
丁度前日に、YoutubeでRolandの特集を見ていたということもあり、ホストという職業に若干興味が湧いていたタイミング。その日はちょうど予定もなかったのでとりあえず話だけでも聞くことにしました。
体験1日目
お店で実際に話を聞かせてくれるということで、いざ歌舞伎町の店舗へ!意外に内装が綺麗だし店内のスタッフの人当たりが良くて、好感が持てました。
この日が体験入店の1日目となります。
体験入店とは、実際にホストとして勤務を開始する前に、ホストの仕事が自分に合っているかどうかを判断する為にある期間のことのようです。就活におけるインターンと同様の位置付けでしょうか。
1日目は細かい説明を受けたり先輩社員と話したりします。そして2日目にテーブルマナーについての講習を受けたりら実際に接客をするという感じです。
この日は主に、給与体系や業務内容についての説明を受けました。
給与体系について
お店のテーブルに座り、Iさんに最初に聞かれたのが、「一年後の今、いくら稼ぎたい?」でした。なんとなくその場のノリで、「一千万稼げたらすごいなと思います」と答えたような気がします。
するとIさんは、
「全然夢じゃないし、歌舞伎町では一年目にもっと稼いでるやつなんてザラにいるよ!」
と言います。
夜の業界に詳しくない人は、ホスト=高給取りというイメージが強くあるかと思います。そのイメージうまく利用し、興味を持ってくれた子を引き込もうと言う算段なのでしょう。
しかし、よくよく話を聞いてみると、月商50万に到達していない人たちは、基本給が1日あたり5千円であり、もしお客さんを入れられなかった場合、東京都の最低時給賃金を下回ってしまいます。
売れなかった時のことを考えると、かなり割に合わない仕事です。
歌舞伎町の有名プレイヤーの名前と年収で言葉巧みに新人を引き連れ、その新人が売れれば儲けもの、売れなかったとしても雑用を任せ労働力として安く利用する、という構図が垣間見えたような気がしました。
先輩ホストK
Iさんからの説明が終わると、Iさんは再び、新宿の街に勧誘をしに行きました。
その後、現役新人ホストの人たちと話す時間が設けられました。明るくノリの良いKというホストと、店の掃除やおしぼりの準備をしながら、身の上話をすることに。
元々料理人だったKは、料理を作ること自体より、お客さんに喜んでもらうことに生き甲斐を感じていたそうです。特に、Kは話すことが好きで、お客さんと面と向かって話すことで、自分がお客さんの笑顔に貢献しているという実感を得ていました。
しかし、厨房の仕事が忙しくなり、なかなかお客さんとの会話の時間が持てず、お客さんに貢献しているかどうかが不透明になっていき、生き甲斐が得られなくなっていったそうです。そんな中、僕と同じように路上でホストの勧誘を受け、ホストなら面と向かって誰かを喜ばせられると考え、転職を決意したとのこと。
就活でよくあるような話の流れですが、一回も就活を経験していない上に、僕より3つ年下のKが、自己分析と職業選択を知らず知らずのういに行っている様子に、素直に驚かされました。
Kは掃除の指示もテキパキしており、新人なのに頼り甲斐がありました。身の上話以外の話も楽しく、Kには、ひとりの人間として魅力を感じたように思います。
人事長と面談
朝会を終えるとクラブのVIPルームに連れて行かれ、人事長と1対1で急遽面談をすることに。
元ホストをやっていただけあって、顔もスタイルも良く、スーツもバシッと決まっており、「できるおじさん」感が溢れ出ていました。
数分間簡単に自己紹介をし、何か面白いこと言ってよと言う無茶振りをうまくかわし、適当に話の調子を合わせていると、いつのまにか、話題は恋愛の話に。ここまでルックスもトークも良い印象だったTさんなのですが、恋愛話が吐き気を催すレベルで胸糞でした。
というのもTさんは、奥さんと離婚したばかりだったのですが、その理由が、マタニティブルーが他の人よりひどくて面倒だから、というもの。さはき極め付けはこの一言。
「別れてもあんまショックとはないかなー。別に今も女に困ってる訳でもないしね。」
控えめに言ってクソ男です。お前みたいなやつが女の子を接客してんじゃねえよと、心の底から思いました。元の奥さんと、生まれてくる子供に対して、土下座で謝って欲しい。
こんな男が女性を楽しませ、その対価としてお金を稼ぎ、人の上に立ち、従業員を面談している、、、。そんな組織で僕は働きたくない、端的にそう思いましたね。
体験2日目に向けて
しかしそれでも、Kのように魅力的なホストもいるわけで、彼を含めこの店で売れっ子の人たちが、どのように接客をしているか興味もありました。
そんな訳で、働く気は毛頭ないものの、後日もう一度体験入店に訪れることにしました。
~後編に続く~